めずらしく短いタイトルです。コミュニケーションに四苦八苦しているわたしは、お弟子6期が始まるほんの数か月前、本当に本当に悲しい失敗をしでかして(自分でそう感じているだけだけど)、アホみたいにコミュニケーション関連の本を買い込みました。ただいま並行読み中。あ、でも、ブログ書くの楽しくてちょっとそっちのけになってる。
そんな本の一つに、岡本純子さんの『世界最高の話し方』*1があります。
この本の90ページに、「言葉の「お片付け」で、心ときめく一言に。」「相手の心をノックアウトする、パンチのある13文字」を作ろうってあるんです。
師匠もね、言ってます。「男ゴコロに収まる気持ちは25文字まで」*2って。
そうかー、そうよねー。薄々気づいてるというか、めちゃくちゃわかってるんだけど、でもね、長文になるんよねぇ。省いて省いて簡潔にしても、短くならないんよねぇ。しかも、パンチのある13文字で終わらせようとすると、怒ってると思われちゃったりしてね、なんかそれって違うパンチだよねぇってことになっちゃうんですよ。なんで?!
でも、モテたいし、好かれたいし、気に入ってもらいたいし、可愛がってもらいたいから、わたしは13文字とか25文字で生きたいんですよ。
切実です。
ちなみに、夫に連絡すると、こっちが長く書こうが短く書こうが、返信は「了解」とか「りょ」くらいです。そして、朝はごめんなさいとかわたしが謝ってる内容のときは、既読オンリー。
というわけで、今日のタイトルは22文字。すばらしいですね!さすがわたしです!
さて。
世界のベストセラー「聖書」に、「初めに言(ことば)があった」*3という一節があります。
種々の解釈や説明は他に委ねるとして、ここからわかることは、とにかく「言葉」はすごい!ってことだと、わたしは思っています。
確かに、わたしたちが使う「言葉」、発する「言葉」によって、世界は様々に変化しますよね。見方や感じ方が変わります。
たとえば、青信号。あれって緑ですよね。小さいお子さんをお持ちのお母さん方は、彼らに一度は言われてるんじゃないかなぁと思います。「ママ、あれ、ミドリだよね!?」って。
わたしも、自分が園児だった頃、登園が一緒になる子と言ってましたよ。あれってミドリじゃん!って。そして思ってました。なんで大人はアオって言って平気なの?と。今でも思っています。わたしたちが最初に味わう「大人の嘘」って青信号だよね、と。
この青や緑の世界。これは、色の違いを感じた祖先が、「あれは『青』これは『緑』」と、ハッキリ言葉にして区別してくれたから、生まれてきた世界です。それまで違いに気づかなかった人は、それらの新しい言葉によって、「青」と「緑」の世界を、新たに感じることが出来るようになりました*4*5。木々が、青々と茂ってるね、緑がまぶしいね、信号はミドリだよね?という風に。
んー。ホント?
じゃぁ、しょうゆ顔とソース顔の違いを例にしましょう。そんなにテレビを視ないし、アイドルも追っかけないわたしは、イケメン男性の顔の違いが、あまりわかりませんでした。ざっくり、みんなかっこいいねー程度。
そんなある日、イケメン男性の顔の違いを感じた誰かが、「あれは『しょうゆ顔』これは『ソース顔』」と、ハッキリ言葉にして区別してくれました。そのおかげで、わたしは、これまで全部同じに見えていたイケメン男性の顔の、違いがわかるようになりました。すると、わたしはソース顔が好き!なんて、自分の好みにも気づきました。さらに、ソース顔イケメンの住む島に移住したいわ!なんて妄想もふくらんできました。ああ、めくるめく新世界。
違いを感じた人が、ハッキリと言葉にしてくれる。すると、その言葉によって、わたしやあなたは、これまで気づかなかったことに気づけるようになる。わたしたちは、新しく知った言葉によって、新しい世界に気づき、生き方の選択肢を増やすことが出来るのです。
ぐはぁ難しい!
もっと簡単にしてや!たとえば、赤ちゃんって、言葉を覚えるたび、世界が広がってってるよねーとか、小学生が新しい言葉を覚えるたび、彼らの世界は広がってってるよねーとか!
ああ…そうね。言われてみればアレもそうでしたよ、「抱く」って言葉。だっこくらいしか知らなかったんです、高校生のわたし。まぁあと、いだくって読むから、あって抱擁くらいかなーと。だから、恋愛小説を読んで、「彼女は彼に『抱いて』と言いました」と書いてあっても、ほぉー彼女は彼に抱っこしてもらいたいんか!くらいの理解でした。でもね、いい大人になって気づきましたよ。気づいて赤面しましたよ。「抱いて」って、だいてって、そうか、そういうことだったんか!彼女は彼に「セックスしたい」と言ったんか!そして二人は………。
わたしの世界は広がりました。激変です。言葉ってすごいですね!
先日、とても楽しい記事を読みました。お弟子同期の朝比奈 卵さんのブログ。
この中に、「 「マンモス」のことを「マンスモン」と堂々読みしてくる女」という一節が出てきます。
マンスモン!なんて素敵な響きだろう!もう、ワクワクです!
大きな大きなマンモスの群れの中に、「マンスモン」がいるんですよ。一頭だけかなぁ。白いオオカミみたいに、神々しくその存在感を放ってるのかもしれない。もしかしたら群れかも。マンスモン一族は、マンモスよりさらに寒いところ、奥地、秘境に棲んでいて、「見つかった骨は、子マンスモンのすねの骨だとわかりました」とかニュースになるんだよ、きっと。
わたしの世界は、またたく間に果てしなく広がって、あまりにもワクワクしすぎてつい口元がだらしなく緩んでしまったほどです!
そんな楽しい世界。その向こう側には、そびえ立つ険しい山々があって、見渡す限りのうっそうとした森が広がっているのかもしれません。誰も知らない谷の向こう側には、涙の湖があって、風にそよぐ波がしらは、絶えずキラキラ輝いているのかもしれません。足元には、葉に朝露を宿らせたうつむきがちな花が、ひっそりと咲いているのかもしれません。
あまりにもうつくしく静かで、わたしは、なんだか胸がつまって泣きそうな気持ちになるかもしれません。そんな世界から、「マンスモン」という言葉がこぼれ落ちてきて、わたしは笑い、癒されました。
わたしは、バスチアンの紹介で、アイゥオーラおばさま*6の変わる家に住んでいます。そこで、おいしい果物や甘いお菓子を食べながら、アリスやドロシーとよくお茶をしています。時々、ブリキの木こりが「心がほしいんだよねぇ」と話しに来たり、ライオンが「勇気がほしいんだよねぇ」と話に来たりします。星の王子さまの愛したあのバラの花は親友で、彼女がそのつらい失恋に泣くときは、黙ってガラスのおおいをかけてあげたりしています。
今日はね、そのお茶会に、マンスモンがやって来ました。マンスモン、こんにちは。これからよろしくね。
わたしの人生、ますます楽しくなりそうです。
わたしたちの持っているささやかな言葉たち。その言葉にもまた、世界を変える力がある。マンスモン、ホントにありがとう。よろしくね。